2018年4月21日

バンドTシャツのもやもや。

バンT、すなわちバンドTシャツがファッションアイテム化してもう結構になりますな。

今や「メタリカやAC/DCをブランド名と勘違いしていた」なんて笑い話にもなるくらい一般的になったバンTですが、かつてはどちらかというとダサい服扱いで、それでも買って着ることがそのバンドのファンとしての証明だったのです。その頃はバンTを扱う店も少なかったので、わたくしのような都内の店に疎いおのぼりさんにとってはダブルデッカー(昔シンコーミュージックが経営していたロックファッションの店)あたりが定番でした。しかしダブルデッカーでは商品ラインナップもイマイチかゆいところに手が届かない上、なぜかLサイズ以上のものしか置いておらず、わたくしの体型にあうMサイズの商品は皆無だったなあ。それでも買いましたが。だから街角でバンTを着て歩いている人を見ると不思議な親近感を感じたもんです。「おっ、ソドムのTシャツだ。やるねェ…」みたいな。

そういう世界を経験していたから、バンTの背後にあるバンドやそのバンドが演奏する音楽を無視して「ファッションとして着ているだけでロックは別に好きじゃない」 なんてやられると困惑してしまうのです。「いや、今はそういうもんだから」と言われても承服しかねるというか、日陰者のあいだで静かに成立していた世界に土足でずかずか踏み込んできて勝手なことをぬかすな、と苦りきったデイヴ・ムステインみたいな顔にならざるを得ない。バンTに限らず、何かの人気がブレイクするたびに昔から愛好していたファンが置いてけぼりになるという構図はもうしょうがないのかもしれませんが、うーん、やれん。

なんというか、AC/DCどころかソドムのTシャツを着ている人まで「こいつは話のわかる奴か…?俺の仲間か…?」と疑わなきゃいけない今の状況が寂しいんですよね。 前に観光でカリフォルニアに行ったとき、現地のあんちゃんが(その頃はまだ局地的な人気に留まっていた)パンテラのロングスリーブTシャツを着ていたわたくしにサムズアップしてくれたことがあって、当時高校生だったわたくしはいたく感激したのですが、今ではもうそんなほっこりイベントも期待できないのかなあ、みたいな。あと背景が顧みられなくなったことで「息子のバンTを着て買い物に行くおかん」みたいな定番ネタももう通じなくなっているかも。いずれにせよ、もうこうなったらファッションアイテムとしての人気が廃れてふたたび静かになるのをじっと待つほかないですな。

ちなみにそういう残念なファッション化、陳腐化の流れがまだ来ていないのがプロレスグッズで、例えば新日本プロレスの公式物販で昔からある坂井永年氏のイラスト入りTシャツ。あのポップな感じにデフォルメされたプロレスラーが描かれているアレなんかは、いまだ着る者に対して相応の忠誠心と覚悟を要求しているようで、とてもいいと思います。最近の新日本プロレスの公式物販には普通に良デザインのものも多いので、まずはそこから入門してゆくゆくは坂井永年、みたいな極め方もアリではないでしょうか。どうでしょうか。


 

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